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雪深い土地だからか、窓は頑丈で鋼の格子も嵌められた念の入れよう。
薄暗い廊下に一応はと灯された常夜灯は、
電力不足か、窓から見える雪の白さより弱々しくて頼りない。
そんなせいというのではないだろが、
奥まったところに、衛士が二人掛かりで立つ一角がある。
銃身の先へ剣を装着した、
いかにも実戦用のライフルを抱えてこそいるが、
扉や敷居なぞのすぐ前でもないあたり、
単なる防衛線というもので、
通過したい者へは、まずはそこで
身分を正される“検問”が為されるのだろうと思われる。
そう、不用意なのではなく、
何段階もに分けての厳重な守りを敷かれているということであり、
そこから奥はというと、
人が長居をするには適さぬ寒々しいばかりの
書庫や武器庫が幾つも居並んでいるらしく。
「………。」
書類に光や湿気は大敵だからか、それとも不法侵入者を寄せたくないからか、
窓がないという意味での完全密室の中、
扉面以外の壁中を埋める小型ロッカーの幾つかが開け放たれていて。
それらの足元にうずくまり、
いやに縁のがっちりしたメガネをかけた人物が、
何冊ものファイルを忙しげに検分しており。
そのメガネへと配されたレンズを通すと、
特殊な加工のお陰様、
こうまでの暗がりでも書面が読める仕掛けになっているらしい。
「…これか。」
お目当ての文書がやっと見つかったらしく。
だが、それを持ち去るのではなく、
シンプルなシャツの合わせになった襟元から摘まみ出した
小さな小さな根付けのようなカメラで、
1枚につき何枚かの写真を撮って、内容をだけ得たい様子。
数頁ほどのそれを写し終えると、元あった場所へファイルを戻し、
ロッカーの扉も閉じての見た目を元通りに復元しておく。
此処にも用がなくなったというなら捨て置くもよしだが、
“まだ白亜の楼閣としての
威容ある器ではあってもらわねばな。”
計画上、何事も起きてはないことにせねばならぬため、
傾いていた使用規約の額もそのままに、
自分がいた痕跡だけを拭い去って。
暗がりを見回した細面がはっと冴えた次の瞬間、
「…という訳で、昨年度の資料をお求めでな。」
「承知しましたが、他のボックスへは触れられませぬよう。」
パッと、あまりの呆気なさで室内が明るみに満たされ、
堅い靴音と堅苦しい会話が
それは強引に遠慮なく踏み込んで来た空間に、
だが、既に先客の姿はなく。
気配に聡い特殊な軍人でも、
天井裏、排気口の奥へ飛び込んでしまった存在までは
追えなんだことだろう。
そして
同じ敷地内にある別の建物では、
この極寒の、しかも厳戒態勢の中でも
それは華やいだ宴が催されていて。
つややかなホールには居心地のいい暖房とやわらかな明かり。
そして、人々の談笑とゆるやかなワルツが交じり合い、
何とも優雅な刻が流れている。
今宵は遠い同盟国からお越しの大使を歓迎することが主眼目の舞踏会。
国中の名士が集められ、
どちらもそれは鷹揚そうに語らい合い、
綺羅らかに着飾った夫人や令嬢が
脂粉の甘い香りをまとい、笑いさざめいていて。
そんな中、音楽隊の奏でるワルツが、新しい切っ掛けを得て切り替わり、
ホールの中へするすると
それはなめらかに進み出た1組の男女がある。
紫がかったカクテルドレスは、さほど凝ったところもないのだが、
それをまとうご婦人の肢体の素晴らしき充実が、
場内の人々の視線を集めてやまぬ。
男性のほうは、今宵の主賓、某国からお越しの大使殿で、
口ひげもお似合いな風貌の、
なかなかにダンディなところが、社交界でも有名な伊達男。
そんな偉丈夫の見事なワルツを引き立てるご婦人がまた、
それはそれは麗しい、格別の美姫で。
すらりと伸びた長い手足は、
優雅なワルツを泳ぐように ものにしており。
豊かな胸や悩ましげな腰つきも妖艶だが、
間近に寄らずともその白さが目映い肌に、
襟足の白さを際立たせる漆黒の髪の瑞々しさもまた、
妬みを含む注目をさんざに集めておいで。
だがだが、それは存在感のある美しさは、何と言ってもその顔容。
きららかな潤みもまた罪作りな、
妖冶な蠱惑をたたえた深色の瞳に、
甘い麻薬の蜜を塗り込めたような口元は赤く。
凛とした気品により、それは鋭利に整った面差しは、
真顔のままだと酷薄でさえあるものが、
ふふと意味深に笑えば、その途端、
何とも言えぬ色香が匂い立つ、まさに魔性の仇花そのもの。
そんな彼女が、
ワルツを楽しみながら、お相手である大使へ何か囁いておいで。
夢見るように目元を細め、艶冶なお顔で語る何かは、
最初のうちこそ、大使をも笑わせるような話であったらしいのだが。
ドレスの裾、くるくると大輪のポピーのように開いて回るうち、
そのお顔がだんだんと曇り始め、
時折 腕を開いて離れては戻るステップが重なるそのごとに、
少しずつ気もそぞろになってしまわれる。
婦人のほうは最初から変わらぬ雰囲気を保ち続けての、
それは艶冶なままでおわすのだが、
とうとう曲の終わりも待たずして、
大使様は その場へサッと片膝ついて跪(ひざまず)き、
このような退出をお許しくださいとの、彼なりの誠意を込めた挨拶を残すと、
それはお急ぎでホールから出て行ってしまわれたものだから。
場内はさわさわとざわめき、
大臣格や官僚たちなのだろう、政治向きの顔触れがあわててその後を追ってゆく。
片や、一体あの女性は何物だ、何をしでかしたのだと、
祝宴の主催でもある外務大臣が、側近らに急ぎ探させたものの。
ああまで目立っていたはずの女性は、いつの間にか姿を消しており、
女性ばかりが固まっていたところへと突き進む従者たちの無作法に、
悲鳴や不機嫌そうな声が上がる中、
「…こちらへ。」
襟の詰まった制服もどきのコートをまとった一団に迎えられ、
黒塗りのやたら丸っこい車へ匿われるように乗り込んだ女性こそ、
ほんの先程まで、森のような中庭の木立を挟んだ遠いホールで
客人すべてからの注目を浴びていた美姫で。
結い上げていた髪を下ろし、
黒々としたサングラスに地味なコートという
ある意味、質素ないで立ちに変わってはいたが、
その身から放たれる威容は、
緊張感に研ぎ澄まされて、いっそ増したほど。
車が出され、こそりと抜け道を穿ってあった
裏手からの脱出をようよう果たした彼女こそ、
冷戦時代における危うい世界情勢の均衡が破綻せぬよう、
人知れず暗躍していた傭兵部隊の黒いばら、
蛇姫との異名を持つ、ボア・ハンコックその人であり。
極秘とされていた同盟国同士の密約文書を
単身で鮮やかに潜入した資料庫にて盗み読み、
その内容を当事者たる大使へ、
こんな国民を馬鹿にした契約の話は御存知かと
よそごとのように話して聞かせたのがこたびの務め。
盟約の内容がどれほど欺瞞に満ちていたかとか、
国民の同意を得ないままの代物だとか、
そんなことは この際どうでもいい。
だから書類は盗まなんだし、宴の妨害もしなかった。
極秘のはずの、だからこそどこか偏った内容だったそれが、
どうしてまた、署名し合ったその翌日の舞踏会で、
色香ばかりを押し出した、名も知らぬ女の口から飛び出したのか。
誰か官僚が買った女へ寝物語に持ち出しでもしたか、
そんないい加減な体制の政権だったということかと、
そういう方向からの幻滅を相手国の代表に植え付けられれば重畳という
やんわりとしていつつ 何とも厭らしい策でもって
当事者らの信頼関係を掻き回したまで。
「あのような警備で極秘文書を固めて仕舞っておくなどと。」
わらわには、出入り自由の図書館レベルな保管庫であったがのと、
失笑なさる蛇姫様だったが、
「ですが、レディ。警備兵らに仕掛けた催眠術は特別の技では。」
「さよう。彼らはあなたが目の前を通ったことに、まるで気がつかなんだ。」
運転席の男が静かに賛美の声を寄越し、
「どうしてお一人で向かうと仰せになったかは、
その後の鮮やかな身ごなしで判りましたが、
我ら、気が気ではありませなんだ。」
確かに通過には術も使ったが、
難攻不落の保管庫には厳重な施錠という壁もあった。
無機物が相手では催眠術も役を為さぬと案じておれば、
何の装備もないまま、壁へ足をかけての一気に高みまで駆け上がり、
通風孔へあっと言う間に辿り着いた、人並外れた身のこなしには、
その道の玄人たちも息を飲んだほどで。
◇◇◇
割りと礼儀正しいルフィが、
こうまで美しい人を捕まえて“ばあちゃん”呼びなんていう、
世にも恐ろしいことをしでかしたのは、
『水臭いのぉ、名前で呼んでくれたらいいのに。』
祖母様までそう仰せだというに、
『だってエースが目上の人を名前よびしちゃいけないって言ってた。』
『その割に父上も兄貴も名前で呼んどらんか、お前。』
『………あれ?』
相変わらずです、まったく。
そ〜れはともかく、
「ばあちゃん、根付けって何だ?」
「うむ、財布や、今なら携帯につける紐付きの飾り、
まあキーホルダーのようなものじゃな。」
「ああ、ストラップとか“チャーム”だな。」
どこからどう見ても、美人女優としての盛り真っ只中と思わすような。
それは瑞々しい容姿風貌の麗しの佳人が、
こちらのお宅の腕白小僧(とその兄上)の祖母にあたるお人なのだという、
そりゃあもう、今世紀最大間違いない爆弾を落とされて。
笑えない冗談…なぞではないと、本人からも言い切られては、
きれいな女性が覇気の元というサンジなぞ、
その場で腰を抜かすしかないか…と思いきや。
「う〜ん、さすが美人は基準が違う。」
「何の基準がだ、こら。」
ややこしい言い回しでルフィまで混乱さすなよと、
三白眼を吊り上げたゾロへ、そのルフィくんが告げたのが、
「あんな、俺が幼稚園の頃に、ばあちゃんに ぷろぽおずしたんだな。」
「いやん、そんな昔のことを今更。///////」
照れるではないか、ルフィ〜〜〜///////と、
きれいな両手でほおを押さえる姿なぞ。
ついさっきまで殺気に満ち満ちた形相で、
ゾロを小柄で打ちすえんとしていたお人とは思えないのですが。
「でもな、ばあちゃんと孫では結婚は無理って言われたんで、
だったらいつまでもこのままでいてってお願いしたんだ。」
「そうじゃったなぁ。////////」
それからわらわは歳を取るのをやめたのだと胸を張って仰せだが、
“それは嘘だな…。”
だってそれでは、
その前に語られたとある時代の暗躍ぶりとの時期が合わない。
知る者も限られる、
上級にして極秘級の機密を収めた特別資料室への潜入なぞ、
彼女にとってそれは容易い仕儀であったそうであり。
「何しろ、術者としての鍛練を山ほど積んでおったからの。」
ほほと品よく微笑ったお姉様だが、
“それはよく判る。”
そこの事情は、サンジにもゾロにもようよう承知なこと。
肉体を持ち、陽世界を生きる人間に
気脈だの地脈だのという目に見えない生気を操るのは土台無理な話であり、
せめて気配を感じ取れたら上出来というのが普通一般のレベルなのだが。
稀に、その体内に巡る気脈を自在に制御し、
外界や他者のそれと共鳴させたり、
どうかすると取り込んだりも出来る存在がいる。
大昔からそういった霊気の濃い聖地を守る一族の者に見られる特性を、
こちらのご婦人もしっかと引き継いでおられたようで。
“どんなに素養があると言っても、
相当な無理をするのだ、
体も鍛えておかねば過ぎる消耗から命を削りかねん。”
その鍛練で得た素晴らしき運動能力を生かし、
世界を股にかける女スパイとして跳梁していた時期がおわしたそうで。
「だが、冷戦時代に一線級って、それって……。」
はしゃぐルフィに手を取られたまま、お家へと上げてもらい、
リビングではソファーに並んで腰掛けという好待遇を受けておいでのお姉様へ、
まさにべったり大甘えの態勢でいるルフィさんであり。
たまに帰宅する父上や兄上へも
ここまで甘えたりはしない彼を知っているゾロとしては、
そちらも気になって仕方がないようで。
「……。」
普段からの寡黙とは別口の無口であると気がつき、
こりゃあ使いものにならんなぁと、
美人たちが相手だというに、珍しくも緩みもせぬまま、
サンジが話の舵取りを受け持ち中。
あんまり気は進まなかったが、その辺りを一応訊けば、
「うむ。あの頃はなかなかスリルがあって楽しい日々だったがの。」
ごろごろと麗しくも豊かなお胸へなつくルフィの
撥ねまくりの髪を愛おしげに撫でてやりつつ、
「この子の母、わらわの娘が社を継げぬと言い出しおってな。」
「やしろ?」
小首をかしげるサンジだったのへ、
キッチンを借りてお茶を用意していた従者らしき少女が説明を足す。
「我らの本家は、瀬戸内のとある小島の社を守る一族なのですよ。」
部外者へ話していいことというもの、ちゃんとわきまえているものか、
蛇姫様こと、ハンコック様も、
特にいらうような視線も上げぬままであり、
「蛇神を本尊としている我らは、
西日本でも指折りの歴史もつ社を祀っています。」
蛇というとなんとなく不吉な邪神のように思われがちだが、
何の何の、古代のエジプトやインドの宗教では
水の変わり身、神聖な神やその使いとされてもいて、
インドでは年経た蛇は竜になるとされているほど。
(ブッダ様に添うていた大蛇ムチリンダが
“竜王”と冠されるのもそこからだそうです。)
「その始まりから女系の一族なので、
ハンコック様の跡目をお継ぎになるはずだった姫巫女様が、
攫われるように連れ出されたおりは、
そりゃあもう大騒ぎとなったものです。」
どうぞと皆へも出されたのは、それは香りのいい日本茶で。
サンジが出そうと仕掛かったものの、
外で御方様が口になさるものは
私が用意することとなっておりますのでと、
愛らしい君からやんわり断られた次第。
そんな彼女の言を引き継いで、
「見つけ出したときは、もう既に ややも出来ておって、
引きはがす訳にもいかん。
しかも、そちらも何やら曰くのある血筋らしゅうて。」
「…って、それってまさか此処のお父上のこと…でしょうか?」
唖然としたサンジの言いようへ、
ハンコック嬢としては一生の不覚だったか、
深く哀切を込めての溜息をつかれると、しっかと頷き、
「怖がるのではないかと思うてルフィには黙っておったが、
まさかその双方の血をもっとも引いておったとはの。」
許せと目許をたわめる美しき姫御前へ、
だがだが、ルフィはふにゃいと嬉しそうに笑い返し、
「いーんだ。ゾロと知り合いになれたからvv」
むんと胸を張るところが、剛毅なんだか無邪気なんだか。
その笑顔を見て、何とも切なげに目許をたわめた うら若き祖母様だったが、
「そうか。お前が幸せなのなら、わらわも悪くは言うまいよ。」
それはそれは愛おしい坊やへ、
たいそう柔らかなお声でそうと告げられたのだった。
◇◇◇
そもそもは、
彼女がCEOを務める表向きの顔、
総合商社“アマゾンリリー”の仕事に忙殺されていたその合間、
ルフィの近況を聞かせてくれるエースから訊いていた、
最近のルフィに添うようにしている強靭な守護とやらを
どうしても確かめたくなっての来日だったのであり、
“負属性ではないことは判っておったのだがな。”
自分と同様、その持ち前の勘から、
ルフィが厄介な星の下に生まれたことも察していたエースだ。
忌まわしいものを弟へ近づけるような真似はすまいし、
『ハンコックさんが嫉妬しちまうほど、
そりゃあ懐いてるから心配は要らないよ。』
どう解釈したらいいものか、
そんな言いようをしていた彼だったものだから、
却ってやきもきしながらも、
多忙な身はなかなか侭にならずで身動きも取れず。
メールでさりげなく本人へ訊いても
“友達”の事しか話題にはならずで、
間違ってはないのだろうが、それではハンコック様的には埒が明かない。
悪い精霊や何かでなければそれでいいとしつつ、でもでも、
「ルフィの周囲の運気が、な。」
もしかして、
大きな危機や恐ろしい事態も何度かあったのだろう?と。
はっきりさせるべく訊きたいのは山々だったが、
それがこの子を傷つけないか、
何か思い出させたり、
こちらへ気を遣わせないかと思うとそれもかなわず。
「妙に不安定が続いておるようなのが気になって。」
「…そうか。そんな遠い人にも判るほどだったか。」
お付きの少女への連絡があり、
どこか近所に空き地はないかと打診され、
ルフィが案内を買って出て、近くの学校へと連れてった隙をみて。
蛇の巫女姫様は、破邪殿へと直接声をかけており。
「ルフィを狙ったものとは思えんのだが、
確かにここんところ不安定だってのは否めない。」
と、ウチの上層部が言ってるらしいと、
自分は実戦部隊に過ぎない身なのを匂わせれば。
女だてらに随分と上背のあるお姉様、その身を反っくり返らせて、
「さようか、確たる実情は判らずとも、あの子を護り続けて来たか。
大したものぞ、褒めてやろう。」
「そりゃどうも。」
大向こうからお褒めが降って来たのへと、
だが、今更ムキになる気にもなれぬまま、
ややぞんざいに受け取っておれば、
「…これからもようよう頼む。」
おっ、と、その声音がやや沈んだことを意外に思う。
手元へ置くのが一番安心だからと
何ならつれてくくらいは言うかと、秘かに案じてもいたからで。
それがこの、任せたとの一言だとあって。
さしもの破天荒ゾロでも、意外に感じたようであるが、
「……言われるまでもねぇさ。」
返したのはそんな一言だけだったそうな。
リムジンの運転手さんが、日本支部からの至急ご帰還をという連絡を受け、
帰るための“足”を都合したそうなのだが。
それが何とまあ、垂直昇降機、別名ヴィトールというヘリもどきな飛行機で。
「まさか、悪名高き“オスプレ○”じゃあるまいな。」
「それじゃあ住宅地の学校内への着陸許可なんて下りないって。」
頭上の上空を飛び交うだけでも相当な音がするもの、
それが地べたへ降りて来たとあって。
ご近所の皆さんも何だなんだと顔を出しの、
携帯やスマホを構えのという騒ぎになりかけているが、
そのくらいは日常茶飯なのか、意に介さぬというしれっとしたお顔で、
見物の一角に紛れていた中から踏み出すと、
規制線の方へ向かって泰然と歩みを運ぶ巫女姫様。
ふと、途中で立ち止まると振り返り、
「ルフィ、難儀におうたら いつでも声を掛けておくれ。
どこにいても駆けつけるからの?」
毅然と、だが、頼もしさの中に嫋やかな優しさ込めて告げる彼女だったのへ、
「うんっ。ばあちゃんも元気でな?」
大きく手を振る屈託のなさが、彼なりの頼もしさの発露なのだろが、
“頼ってほしい身には ちと辛いなぁ。”
そこはサンジのみならず、ゾロにも判ってしまったことなれど。
それへ続いたのが、
「ばあちゃんこそ、何かあったら俺んこと呼べな?いいな?」
「………っ。」
おおお、そう来たかと、身内の大人たちが感心し、
ご近所の皆様には、
ルフィちゃんたら誰と話しているのかしら、
せっかく美人さんが関心向けてくれているのに、と、
ややこしいがそれが無難な勘違いをされたまま。
かぐや姫のような麗しの婦人、
驚きの“お祖母様”の襲来は、ここに収拾したようでございます。
「……ところでゾロ。晩飯の支度は?」
「おお、今からかかるぞ。」
「うえ〜〜〜?」
さすがは健康優良児だ、うん。
〜Fine〜 13.09.16.〜 09.28.
*何だか なし崩しな〆めですいません。
昨日今日と眠くて眠くて、
せっかく涼しかったのに机に向かえませんで。
とりあえず、ハンコック台風様は
問題の大妖も見たし(おい#)
待望のルフィに逢えたしと、気が済んだようなのでご帰還です。
以降は……いやぁ出てくる機会ってあるのかなぁ?
*めるふぉvv
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